2020年9月11日 金曜日
【症例】妊娠中の恥骨痛でお悩みだった方の症例
妊娠中の恥骨痛。痛みの差はあれ、一度は経験する症状といっても過言ではありません。病院では、妊娠中はそんなものだよと言われて、我慢していたけどやっぱり駄目。痛みで生活の質が落ちる。動く度にチクっとする。寝てるのも辛い場合も・・・。そんな、恥骨痛でお悩みだった方が解消に至るまでの道のりを解説していきます。
利用者
30代女性 守口市在住主症状
恥骨痛その他の症状
こむら返り過去に受けていた施術
マッサージ
整体
鍼灸治療主な施術ポイント
関節の安定性獲得
ファイアリングシークエンスを整える施術の経過と内容
1回目
問診を行なうと、
現在妊娠中で35週。
4日前くらい前から恥骨の痛みが生じる。
歩行時、荷重時、立ち上がり時に痛みを生じる。
日常生活に支障が大きく出ており、
家では動かずに寝たままの状態であった。
そのせいもあってか、こむら返りもここ数日強く出る。
検査を行なうと、恥骨結合、仙腸関節の関節不安定性が強い。
骨盤周囲の関節の安定性を高める施術を行ない、
骨盤底筋の入れ方指導を行う。
また、下半身を中心に過剰に緊張している筋肉のリリースを行なう。
骨盤底筋のみならず、内転筋などの下肢を連動させたトレーニング指導も行なう。 2回目
2日後来院
恥骨の痛み→ペインスケール10から5へ変化。
施術は前回と同内容で実施。 3回目
5日後来院
歩行時の痛みはほぼ解消。
寝返りをした際に恥骨痛を生じることがある。
股関節、仙腸関節、恥骨結合、脊柱などの関節調整を中心に行なう。 4回目
9日後来院
日常生活には支障がない程度にはなっているが、
若干、右恥骨の辺りに痛みが生じる。
検査をすると、右の仙腸関節の歪み、脚長差が生じていた。
同部位の矯正を行なう。 5回目
11日後来院
恥骨痛消失。
日常生活も問題なく過ごせており体調は良好。
最近は、体を動かすことに怖さが無くなったので、
ウォーキングに行ったりと体を積極的に動かせているとの事。
残りのマタニティ生活や産後の注意点やセルフケアを指導。
症状が解消され、39週となった事もありマタニティケアをこれにて一旦終了とした。考察
今回の症例は、妊娠中に生じた恥骨の痛みが生じたケースでした。 妊娠してから分娩時までの約10カ月間でお母さんの体は非常に大きな変化を伴います。
特にホルモンの関係もあり、全身の関節の不安定性が高まります。
関節を緩める際に、リラキシン、HCG、プロゲステロンの3つのホルモンが作用します。 その中でも骨盤周囲は赤ちゃんも宿る部位でもあり、
赤ちゃんが大きくなってくればなるほど関節の不安定性がより高くなります。 関節が緩むことで赤ちゃんの寝るスペースが広がっていきます。
なので、関節が緩み不安定性が出る事は悪い事ではありません。 ただし、緩み過ぎた際は筋肉が頑張って支えることになるのですが、
妊娠中は活動量が低下する為、よほど意識して体を動かしていないと、
支える筋肉も弱っているので支えきれません。 そうこうしている間に、
ファイアリングシークエンスが狂ってしまいます。
ファイアリングシークエンスとは筋肉が活動する順番の事を言います。 これが狂ってしまうことによって、
本来であれば、恥骨に付着する筋肉を動かしても、大きなストレスが掛かる事が無いですが、
ファイアリングシークエンスが狂うことで、
恥骨に過度に牽引ストレスが掛かってしまい恥骨痛を生じる原因となります。 今回の施術に関しては、
関節の不安定性はありましたが、
大きな身体の歪みは生じていませんでした。 なので、
関節の不安定性を無くすために、
関節を締めて(赤ちゃんが窮屈にならない程度に)安定性を高める施術を行ない、
その状態が持続できるように、骨盤底筋トレーニングを実施する。
更に、骨盤底筋のみならず骨盤周囲や下肢の筋肉を連動させたトレーニングを、
適切な順番で筋肉が収縮するように再教育する。 以上が今回行った施術であり、基本的な施術の考え方です。 今回のケースではありませんでしたが、
歪みが強かったり、疲労度が強い場合は勿論そこのケアもしなければいけません。 妊娠中の身体は特殊です。
専門的な知識が必要です。
触れてはいけない部位などもあります。 もし、妊娠中でお悩みがある場合は、
後になればなるほど、お子さんが大きくなってきて、
身体への負担は大きくなりますので、
早めに専門の機関にてチェックしてもらう事をおすすめしますね。 ※個人の例です。全ての方に効果を保証するものではありません。関連記事タグ : マタニティ恥骨痛【症例】