2020年10月30日 金曜日
【症例】産後からの腰痛・股関節痛と妊娠中からの尿漏れでお悩みの症例
産後からの腰痛と股関節痛と妊娠中からの尿漏れでお悩みのケースでした。どれも妊娠中や産後には良く生じる症状でありますが、一方で医療機関で相談をしてもその期間はそんなもんだから、そのうち治るから様子見でと言われる症状でもあります。でも、待てど暮らせど症状は変わりません。そんな訳で来院された方の回復に至るまでの道のりを解説していきます。

利用者
30代女性 茨木市在住
主症状
腰痛
股関節痛
その他の症状
尿漏れ
過去に受けていた施術
特に無し
主な施術ポイント
骨盤底筋
骨盤や股関節の歪み
施術の経過と内容
1回目
問診を行なうと産後から腰痛がある
寝た状態から起き上がる際や、前に屈む際に痛みを生じていた
股関節も同様の動作で痛みを生じる
肩は自覚はあまり無いが凝ってるかもしれないとのこと
尿漏れが妊娠中からあり、咳やクシャミ時に漏れる
検査を行なうと、
姿勢はスウェイバック気味、肩周囲はガチガチで肩関節の可動性は悪い
骨盤は歪みが生じており可動性も悪い
全身の筋緊張も強い
施術は関節調整を行ない、歪みや可動性の改善を促す
全身の筋緊張を緩和するように筋膜リリースをおこなう
2回目
3日後来院
腰痛は何かの動作でビキッとする感じがあったのがなくなった
股関節痛も今の所生じていない
肩周囲は客観的にもまだまだ緊張が強い状態
施術は基本的に前回と同内容で行なう
骨盤底筋の入れかた指導実施
3回目
1週間後来院
腰痛は前に屈む動作は痛みを生じなくなってきたが、
朝一に起きようとした際に痛みを生じる
股関節は問題なし
骨盤底筋チェック→良好→更に骨盤底筋を強化する為のトレーニング指導実施
寝ている際、子供が両サイドに寝ているので寝返りはあまりできていない
その影響もあり、朝一に腰痛が生じていると考えられる
骨盤や腰部や大腿部などの骨盤周囲の筋肉のリリースを行なう
普段から腰部に負担を掛けないように座り方の指導を行なう
4~6回目
腰痛は朝一の痛みが強さは減っているが残存
股関節痛、尿漏れは解消された
腰痛が肩周囲の硬さからも影響を受けていると考え
肩周囲の可動性を出すためのセルフケアを指導
9回目
朝一の腰痛が残存
来院当初よりは程度はましだが、スッキリとはしない
再度身体を検査しなおすと、
広背筋の筋緊張が他の部位よりもやや強い
姿勢チェックすると、肩関節内旋方向になっており、
広背筋が腰部に影響を与えていると考え、
広背筋のセルフケアを指導
10回目~
朝一の腰痛解消
股関節痛、尿漏れもその後再発していない
最近は腰は気にならなくなってきたが
抱っこの頻度が非常に多くなってきて、
肩こりを感じるようになってきたとのこと
その為、現在は腰痛の再発を防ぎつつ肩こりに対する施術を中心に行い
メンテナンスを行ない経過観察中
考察
今回の症例は、産後からの腰痛、股関節痛、尿漏れでお悩みのケースでした
腰痛と股関節痛は産後からで、
寝た状態から起き上がる際や、前に屈む際に痛みを生じていた
尿漏れは妊娠中からあり、
咳やクシャミ時に漏れ出る状態であった
股関節痛に関しては早期に痛みは落ち着いた
原因としては股関節の歪みがあった事が原因と考えられた
骨盤の歪みを生じると、それに付随して股関節も捻じれが生じる
また、産後は骨盤底筋などの股関節の安定性に関わる部分が弱化しているので
余計に負担がかかり、痛みなどの問題が生じやすい
なので、歪みを整えてあげて股関節周囲の安定性を獲得すれば
問題が解消されることが多く、今回もそのパターンで解消された
産後の尿漏れに関しては全てとは言えないが
殆どが骨盤底筋の弱化が原因で生じている
骨盤底筋は膣、尿道、肛門を覆う筋肉である
これらの入り口を締めたり、緩めたりしている
その為、骨盤底筋が弱化すると締める動作が出来なくなり
咳やクシャミをした際に尿漏れを起こしてしまうことになります
近年は骨盤底筋も認知率は向上してきています
ただし、単純に会陰部を「締めて~、緩めて~」という単純な動作だけでは
完全に骨盤底筋を強化する事は出来ません
専門家の指導が必要だと思われます
最後に腰痛に関してですが、
産後の腰痛でかつ、朝一に腰が痛いと仰る方は非常に多いです
原因としては寝返りが出来ないことが大きなポイントになってきます
寝返りは人間にとって非常に大切な事です
人間は同じ体勢でいることは難しいのです
ある研究データで人間は15分以上同じ姿勢でいると
痛み・集中力の低下などの問題が生じることが解明されています
特に産後のお母さん方は
子供と一緒に寝る事が多いと思います
兄弟姉妹がいれば尚更ですが、横に子供が要ると精神的なブロックがかかり
そちら側に行かないようになります
そうすると寝返りが出来ない状態になり
同じ体勢で長時間寝ているので痛みを生じたり、筋肉や関節が固くなるのです
今回のケースは寝返りが出来ない事で
腰部に硬さが出ていたのもありますが
一番の問題は本人はあまり自覚していないかった肩周囲の問題でした
広背筋という筋肉は育児生活の中でも非常によく使う筋肉です
それが、寝てる間に更に負担がかかり過剰に緊張をして
腰を引っ張るようなストレスを掛けていたことによって
腰痛が生じていたと考えられました
一口に腰痛と言っても発症パターンは色々です
腰痛だからと言って腰部に問題があるケースは逆に稀なくらいです
特に産後は症状があろうと無かろうと、
体は大きなストレスを受けています
そのあたりをしっかりと理解したうえで
体を整えたり、強化をしていかないと産後の腰痛は中々治りません
産後のトラブルが生じた場合は
出来る限り早く、専門の機関で身体のケアをする事をおすすめします
それがその後の生活・育児生活の質に影響しますよ!
※個人の例です。全ての方に効果を保証するものではありません。
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