2020年11月13日 金曜日
【症例】側弯症が影響した尾骨痛や腰痛や股関節痛でお悩みの症例
1人目出産時に尾骨が骨折しているかもしれないと医師に言われたそうです。そして今回、2人目出産後に再び尾骨の痛みを生じました。恐らく1人目出産時に骨折していたかは不明ですが、少なくとも歪みが生じていたと思われます。それが原因での尾骨痛が生じていた。また、腰痛に関しては側弯症が影響していました。では、そんな方の回復までの道のりを解説していきます。

利用者
30代女性 豊中市在住
主症状
尾骨痛
腰痛
その他の症状
股関節痛
過去に受けていた施術
特に無し
主な施術ポイント
尾骨矯正
側弯へのアプローチ
施術の経過と内容
1回目
問診を行なうと、
産後から尾骨の痛みが強く生じている。
座ったりする時に常に痛む。
中学生の頃から側弯症と診断されていて腰痛はずっとあったが、
産後から腰痛が悪化している。
股関節はたまに歩いている時などに両方とも痛みを生じることがある。
検査を行なうと、
尾骨に関しては骨盤の奥の方に向くように内巻きになっていた。
側弯症はS字状に弯曲しており、
左上半身は筋緊張が強い状態で
右半身は筋肉が殆ど使っていない状態でフニャフニャの状態であった。
下肢長差もあり右足が短い状態。
施術は尾骨の内巻きを外側へ矯正するような施術を行なう。
側弯症へのアプローチも行なう。
尾骨や脊柱や腰部周囲の筋肉に負担を掛けないような座り方を指導。
2回目
翌日来院
尾骨痛、腰痛は大きくは変わらず。
下肢長差は昨日の矯正後の良い状態を維持している。
施術は昨日と同様の施術を行なう。
骨盤底筋の入れ方指導実施
左上半身に力が入らないようにして
右上半身に力が入るような姿勢を指導
3回目
1週間後来院
尾骨痛まし
腰痛はそこまでしんどくは感じていない。
左股関節が違和感を生じることが1度あった。
骨盤底筋チェック→左の骨盤底筋が弱い。
この弱さが左股関節の違和感に関係していると考えられる。
左の骨盤底筋を徹底的に強化する。
更に骨盤底筋のみならず下肢を含めた周囲筋肉の強化トレーニングを指導。
後は、尾骨と側弯症へのアプローチを引き続き行う。
4回目
1週間後来院
尾骨痛は全体的には痛みが低下してきた。
自転車に乗った時に痛みが生じる。
左股関節と腰痛はそんなに気にならなかった。
左の骨盤底筋の出力は向上している。
施術は前回までと同内容で行なう。
5回目
1週間後来院
尾骨痛はやはり自転車に乗った時に痛むのと、
柔らかい所に座っていると痛みが生じる。
詳しく話を聞いていくと、骨盤が後傾位に痛みを生じていると判断。
初回に指導した座り方を実践していないとの事で、
再度、尾骨や脊柱などに負担が掛かりにくい座り方を指導。
左上半身のタイトと右上半身のフニャフニャは初回に比べると改善も、
まだまだ、日常生活や育児に耐えられるレベルではない。
そのアンバランスを整える為のトレーニング指導実施
6回目
1週間後来院
尾骨痛は日常生活では痛みが出なくなってきた。
車の助手席で1時間位座っていた時に痛みが若干生じた。
腰痛、股関節痛は気にならない程度へ
側弯症は当初S字弯曲が顕著だったがニュートラルに近い状態へ変化
肩の緊張が強いということで、肩周囲のケアを中心に行い、
肩甲骨周囲のストレッチ指導実施
7~13回目
尾骨痛消失
腰痛は育児での負担がかかると生じることがあるが、
普通に生活している分には問題ない状態へ
股関節は生じていない。
この期間は通院間隔を2週程度に空けて経過観察をおこないつつ、
メンテナンスを行なっていた。
育児状況によっては、腰痛や肩こりが生じることがあったが、
施術を行なえばすぐに消失する程度であった。
上半身の筋肉の左右のアンバランスに関しては、
左の筋緊張は低下し、右のフニャフニャ感は筋肉に緊張が入るようにはなってきている。
ただし、トレーニングをキッチリと実践は出来ていないこともあり、
まだ完全では無いため、今後も自身での取り組みが必要だと考えられる。
痛みに関しては大きな問題は無かったこともあり、
今後自身で引き続き実施しなければいけない事をお伝えし、
今回にて産後の骨盤矯正を一旦終了とした。
考察
今回の症例は、産後からの尾骨痛と腰痛、股関節痛でお悩みのケースでした。
今回、2人目の出産後だったのですが、
実は尾骨痛に関しては1人目の時からありました。
その際、尾骨が痛い事を担当の先生に伝えたところ、
尾骨が折れてるかもしれないね!?と言われたそうです。
だからと言って何をするわけでもなくそのまま放置していたそうです。
そして、2人目出産時に尾骨に赤ちゃんが引っかかって中々出てこなかったそうです。
恐らく骨折では無く、1人目出産時に尾骨が内巻きに曲がった状態になり、
そのまま放置していたのでそのまま固まってしまっていたのだと考えらえます。
それが産後の尾骨痛の原因だと考えられました。
尾骨の歪みはよくあることではあります。
ただし、歪みを矯正するタイミングは限られています。
それは、妊娠中か産後まもない時期です。
なぜなら、その時期はホルモンバランスが変わるので関節が緩くなります。
なので、その時期なら矯正することが可能ですが、
その時期を逃すと、関節がガチッと固まるので矯正するのが難しくなります。
今回の場合、産後2カ月に満たない程度だったので矯正が可能でした。
腰痛の原因は側弯症が影響しているのは明らかでした。
中学生の頃からということでしたが、
S字に弯曲しており左上半身は筋緊張が強く
右上半身は筋肉が全く緊張感がなくフニャフニャの状態でした。
この状態で、育児や家事をしていれば痛みを生じるのは当たり前だと思われました。
長年弯曲した状態で生活をしてきていたので、
その状態を1~2回で元に戻すことは難しいです。
骨格を本来の位置へ戻してあげて、
その状態を保持できるような筋肉への教育・強化が重要になってきます。
それを毎回少しずつ継続していくのが大切です。
でも、背骨だけ調整すれば良いと言う訳ではありません。
下肢長差も出ていましたので、そこの調整もしっかりとしないといけません。
脚は骨盤や背骨の土台の部分です。
そこが歪んでいれば上も整いません。
今回股関節の痛みも生じていましたが、
下位長差や脊柱の歪みが股関節に影響を与えていた部分もあります。
骨盤底筋の弱化も原因としてありましたが、
下肢や脊柱に歪みが生じれば、
本来の効率の良い位置からずれてしまいます。
そうすると、効率の悪い状態でパワーを発揮しなければいけません。
となると、一部に負担がかかり痛みや違和感を生じることもでてきます。
尾骨痛は矯正できるタイミング限られるとお伝えしましたが、
側弯症は出来るだけ早く!が重要です。
側弯症の発症時期としては、10代~20代前半の女性に多いです。
その発症当初にしっかりとケアをすれば回復も早まりますが、
その状態で10年20年と経過すると、
体は悪い状態であっても、その状態に慣れてしまいます。
年数が経っていれば経っているほど、
その癖を治すには時間が掛かります。
今回のケースも側弯症に関しては、
S字弯曲がほぼ正常な状態へと変化しましたが、
その状態を維持する為の筋肉はまだ完全ではありません。
そこは自身での取り組みが今後重要になってきます。
10年あったものを数カ月で変えるのはそんなに簡単ではありません。
側弯症に限らず全ての痛みや病気に関してもそうですが「継続」が重要です。
そこを無くして「健康」を作る事は出来ません。
最後にお伝えしたいのは、
痛みなどのお悩みがある方は、
どんな事であっても出来る限り早期での対策が重要です。
後で後でとなるとどんどん回復するのが難しくなります。
また、1~2回で悩みが解消される場合もありますが、
殆どがそんなにうまくいきません。
継続して体を整えたり、継続してセルフケアをする事が
1年後や10年後の「健康」を作ります。
その2つをしっかりと覚えておいて下さいね!
※個人の例です。全ての方に効果を保証するものではありません。
関連記事タグ : 産後尾骨の痛み【症例】