2019年1月28日 月曜日
【症例】起き上がる際の恥骨痛と殿部痛ケースの改善例
産後に恥骨痛は非常に多く見られる症状である。酷い場合は恥骨結合離開と言って恥骨の痛みにより、歩行困難になる事もある。今回の場合は寝た状態から起き上がり時などの症状であった。そんな、恥骨痛の回復までの道のりをご説明します。
利用者
30代女性 豊中市在住主症状
恥骨の痛み
左臀部の痛みその他の症状
肩こり
頭痛過去に受けていた施術
鍼灸治療主な施術ポイント
骨盤調整
骨盤底筋施術の経過と内容
1回目
問診・検査を行なうと、
寝た状態から起き上がる際に恥骨の痛みがある。また、感覚としては恥骨が広がってる気がするとの事。
それから、左臀部の辺りの痛みがある。これは、立ち上がりの際に痛みを伴いやすい。
肩は筋緊張が強い。頭痛は10代の頃からずっとあるとの事。
恥骨と仙腸関節に問題があった為、関節調整を行なう。
また、肩周囲の筋緊張緩和に向けた施術を行なう。
骨盤底筋の入れ方指導実施。
骨盤底筋の前後の筋力バランスが悪い。
しかし、骨盤底筋を入れた状態で動作を行なうと恥骨、左臀部の痛みは軽減。 2回目
3日後来院
左臀部の痛みはほぼ消失。恥骨の痛みは残存。
肩こりは少し楽になった。
しかしながら、肩関節周囲の筋緊張と関節の可動性は悪い為、
引き続き、骨盤の調整と肩関節周囲の調整を行なう。
骨盤底筋チェック→やはり、骨盤底筋前後のバランスが悪い為、引き続き指導を行なう。 3回目
4日後
左臀部の痛み消失。恥骨の痛みは未だ少し残る。肩こりは若干強くなった。
身体のチェックを行なうと、内臓疲労の反応が出る。
聞くと、夜間の抱っこが非常に多くなったのでしんどいとの事。
施術は前回までと同内容で実施し、追加で内臓調整を行なう。
骨盤底筋チェック→前後のバランスは整ってきたが、左右のバランスは悪い。
前後左右のバランスが整うようにトレーニング指導を行い、自宅で実施するようにお伝え。 4~5回目
左臀部の痛みその後も再発は無し。恥骨の痛みも消失。
しかしながら、肩の痛みが強く頭痛も伴っている。
抱っこの時間が長く、負担が掛かっている模様。
また、両手首が腱鞘炎のような感じになっているとの事。
肩周囲のストレスに対するセルフケアを指導。
また、抱っこ時に手首に負担の掛かりにくい手首の使い方や身体全体を使った持ち方について指導。
施術は、肩関節周囲の関節調整と筋緊張をリリースし、
下肢やクラニアルなど、全身の調整を行なう。
骨盤底筋チェック→バランスの悪さは改善。しかし、全体的には出力がやや低い。 6~7回目
肩こり・頭痛はピークは脱出した。そこまで、気にならない程度へ改善。
臀部・恥骨の痛みの再発は無し。
右手首が子供抱っこ時などにやや痛みを伴う事がある。
肩関節周囲と、右手首の施術を中心に行なう。
骨盤底筋だけでなく、下半身も連動したトレーニング指導実施。 8~10回目
手首の痛みは改善。
肩こりはあまり感じない程度へ改善。頭痛は週に1回位はあるか。
肩は自覚はあまり無いが、筋緊張は見られる。
肩こり改善をベースとした施術を行ない、頭痛の消失を図る。
トレーニングは忙しくて殆ど実施していないとの事。
骨盤の安定性はある程度出ているが、最低限の状態という感じ。
骨盤周囲の引き締まりは未だ不十分。 11回目~12回目
子供のインフルエンザなどが生じた時に、抱っこも多くなったりして負担が多くなると
肩の痛みを感じる事があるが、基本的にはあまり感じにくくなっている。
頭痛も、以前に比べれば月に数回と頻度は低下した。
仕事復帰する事になり、これにて定期的な産後の骨盤矯正を一旦終了とし、
仕事のストレスは必ずかかる為、月に数回程度メンテナンスをして経過観察をする事にする。考察
今回の症例は産後からの恥骨の痛みと臀部の痛みが主訴の方であった。
出産時の赤ちゃんの大きさや分娩方法によっては骨盤に大きな負担が掛かる。
出産時は恥骨や仙腸関節と言われる骨盤を構成する関節部分に負担が掛かる。
リラキシンというホルモンの作用で、関節が緩み赤ちゃんが出やすい状態は作るが、
それでも、出にくい場合は更に関節部分を押し広げて出産に至る。
その為、産後は恥骨や仙腸関節部分にダメージが残り、痛みが生じやすい。
多くの場合、その関節部分に歪みが生じており、それが原因で痛みを生じる。
また、骨盤底筋という骨盤の安定性を高める筋肉は、
産道部分にあり、底をハンモックのように覆っている筋肉なので、出産時に引き伸ばされる。
1割程度の方は、引き伸ばされた骨盤底筋が自動的に元に戻る方もいるが、
多くの方は、出産時に引き伸ばされた骨盤底筋はそのままである。
そうすると、出産で骨盤が歪み、更に関節の安定性をだす筋肉も機能していない状態となると
骨盤周囲はバランスをとるので精いっぱいになる為、
起き上がりや寝返りなど体幹部分に力を入れて動作をしようとすると支える事が出来ず痛みを伴う。
肩こりに関しても、育児においては抱っこが肩に及ぼす影響は大きいが、
土台になるべき、骨盤が安定していれば負担が掛かりにくいが、土台となるべき骨盤が不安定であると、
より肩周囲の力を入れて抱っこしなければならないので余計に負担が掛かってしまう。
今回のように、しっかりと骨盤を整え骨盤底筋を強化すれば多くの場合は改善出来ると考えられます。
見た目の為にも、機能的な面でも、産後の骨盤周囲のトレーニングは非常に重要になってくる事を理解して頂きたいですね。 ※個人の例です。全ての方に効果を保証するものではありません。関連記事タグ : 産後恥骨の痛み【症例】