お悩み別解説
Case Commentary
2021年3月8日 月曜日
産後の腰痛
産後の起こる痛みの中で最も多いと言っていい「腰痛」。
産後の起こる腰痛は通常時に起こる腰痛とは原因や対策が異なる事がほとんどです。
まず産後の腰痛について理解を深めていきましょう。
Contents
産後腰痛が出やすいタイミング
- 抱っこする時に痛む
- しばらく抱っこしていると痛んでくる
- 朝起きると痛む
- 寝返りの時に痛む
- オムツ替えで痛む
産後、腰痛が出る原因
産後の腰痛の原因は大きく分けると
「構造の破綻」と「疲労」の2つに分けられます。
構造の破綻
・骨盤構造体の破綻骨盤は本来安定した構造体です。
ですから通常時の動きはごくわずかです。
それが妊娠中や分娩の負荷で組織がダメージを受けます。
ほとんどのケースで通常時ではありえない関節は緩い状態になります。
そのことでまわりの筋肉が過緊張を起こし痛みの原因につながります。
また、組織自体が痛みを起こしているケースもあります。
・神経システムのエラー
神経自体も損傷する上、関節周辺には
固有受容器と呼ばれるセンサーが多くありその部分もダメージを受けます。
これらのセンサーや神経は脳に情報を送っていますが
その情報にエラーが起こるため本来の筋肉の力が入る順番などが
狂ってしまったりバランスも崩れたりしてしまいます。
そのため筋肉に余計な緊張が起こり痛みの原因になります。
その他、神経システムのエラー自体が痛みを感じる事も考えらます。
疲労
・過緊張構造が破綻した状態で抱っこやおむつ替えなどを行うことで筋肉は
必要以上の疲労を起こしさらなる過緊張を起こし痛みにつながります。
疲労や栄養不足により筋肉がつったような状態になる事もあります。
・回復力の低下
産後は睡眠不足や育児で疲労が溜まります。
「育児ほど大変な仕事はない」と言われるぐらいです。
疲労があると回復力は低下し余計にダメージを受けた組織や緊張した筋肉が 回復しなくなってしまいます。
・自律神経の乱れ
疲労により自律神経の働きが乱れてしまいます。
自律神経も血流や体の回復力に関与しています。
自律神経のシステムが狂い痛みの原因になってしまいます。
その他の原因
精神的要因やホルモンバランス、既往症の悪化、栄養etc産後の腰痛の改善方法
産後の腰痛の改善はただ筋肉を揉みほぐしたり
筋肉を鍛えるといった単純なものではいかないのが現実です。
場合によっては一時的に腰痛が悪化してしまうことがあります。
例えば
抱っこでしばらくすると痛んでくるパターン
動作の瞬間に痛いパターン
など痛みの出るパターン別でも原因や改善方法も変わります。
改善させる上でNGなこと
・バキバキした矯正上記したように骨盤は基本的に緩んでいる状態です。
その状態にバキバキするような矯正は不要であり
構造を余計に破綻させる原因になります。
・固まった筋肉を揉み解す
ただ固まった筋肉をほぐすと体が分け合って固めていた部分が
一時的に緩んでしまいバランスが崩れてしまう事があります。
(ちなみに筋肉は揉むだけでは解れません)
・戦略なきトレーニング
とにかく腹筋が弱ったから腹筋をしよう。背筋をしよう。
などといった戦略なきトレーニングはオーバーブレイシングと言って
固めすぎてしまい動きが悪くなって痛みが改善しないどころか
改善までの時間を長引かせてしまう可能性があります。
改善のために行うこと
・疲労の除去肉体的にも精神的にも疲労がある状態では思うように改善しません。
当サロンでもまずは疲労の状態を判断し疲労に対するケアを行います。
疲労の回復にはご家族のサポートや栄養の改善は不可欠になってきます。
・正しい動きを戻す
正しい動きを戻すことが神経の働き的にも筋肉などの組織にとっても大切です。
これはコンディションや元々の癖などで正しい動きの習得までの時間が変わります。
筋力トレーニングもあくまでも正しい動きを取り戻すための
トレーニングを行い必要に応じて強化を行います。
・アライメントを正す
日常生活や間違った使い方、分娩等で破綻してしまった構造を正していく必要があります。
・負荷のかかる行動を見直す
抱っこの仕方や授乳の仕方は腰痛の状態に大きく影響します。
負担の少ない方法や時には補助具を使用する事も必要です。
改善のためには正しいステップが必要です
皆さんにこの場で簡単に改善する方法などをお伝えできないのが残念です。
それぐらい産後の状態はデリケートですので下手なことはお伝えできません。
まず状態を判断し
適切な施術を行い
適切なセルフケアをしていただくことが改善に近づくためのステップです。
産後の腰痛Q&A
Q 腰と一緒にお腹まで痛みます
A 腰からの影響でお腹まで痛むことや産後の子宮の状態で腰とお腹が痛むこと、内臓が下垂することで腰とお腹が痛むことなどは産後よく見られる症状で回復してくるケースがほとんどですが一度、産婦人科で見ていただくことをお勧めいたします。
Q 骨盤ベルトはしたほうがいいですか?
A 状況によります。まずご自身での判断基準は骨盤ベルトをして楽になるかならないかで判断されるといいかと思います。またガクガクする感じや産後1ヶ月以内の場合はベルトをされている方がいいケースが多いです。
ただ必要以上にベルトをすることは正しい動きを取り戻す上で障害になることがあります。
当サロンでもできるだけ早期にベルトを卒業できる事を目指しています。
ご来院の際はご相談ください。
Q どれぐらいで改善しますか?
A 状態によります。と言った回答になってしまいます。
1日でも早い回復を目指していますが組織の損傷がひどい場合は回復に物理的な時間がかかります。軟骨組織や靭帯などの組織は一度ダメージを受けると性質的に回復までに時間がかかる傾向にあります。
それらのダメージが大きい場合は時間がかかることがあります。
軽度なものは2〜3回の施術で十分に痛みが改善するケースもございます。
ただ産後のケアをトータルで考えると将来的な影響なども含め当サロンではまず 12回/1クールの施術を受けられることお勧めしています。