2019年11月2日 土曜日
【症例】腱鞘炎で育児・家事が困難になった方の解消例
産後に手首の痛みを生じた。整形外科にて腱鞘炎と診断され、手首の動きを制限する装具や湿布などを処方されたが、症状が解消されることがなく日に日に症状が大きくなっていった。育児や家事もままならない状態であった為、何とかしてほしいと言う事で来院された。そんな、腱鞘炎でお悩みだった方の回復までの道のりを解説していきますね。

利用者
30代女性 池田市在住
主症状
腱鞘炎
その他の症状
特に無し
過去に受けていた施術
マッサージ
整体
オステオパシー
主な施術ポイント
関節可動性向上
筋緊張の低下
施術の経過と内容
1回目
問診を行なうと、右手母指の痛みにより育児生活・日常生活に支障が出ている。
ハサミで物を切ったり、ペットボトルを空けるのも難しい状態であった。
整形外科に行って腱鞘炎であると診断された。
基本的には手首は使うなと言われ、右手首を固定する装具を処方された。
固定していれば確かに痛みは生じにくいが、育児・家事が出来ない状態になる。
検査を行なうと、橈尺関節の可動性低下、前腕伸筋群や屈筋群の筋緊張が非常に強い。
また、肩甲骨周囲などの筋緊張も非常に強い。アームライン全般の問題があった。
上記の問題のある関節と筋緊張部位の調整を行なう。
2回目
3日後来院
手首の痛み若干ましだが、まだまだ育児・家事に問題が生じるレベルであるとの事。
施術は前回と同内容で実施。
3回目
5日後来院
初回から比べれば痛みの質は低下。
但し、依然として育児、家事に不具合が生じるレベルであるとの事。
施術は一貫して前回までと同内容で実施。
肩甲骨周囲の筋緊張は初回に比べ柔らかさが出てきている。
4回目
6日後来院
右母指の痛みは大分ましになってきた。
橈尺関節の可動性も出てきた。
前腕の屈筋群や伸筋群の筋緊張も低下傾向。
施術は前回までと基本同じであるが、よりピンポイントに長母指伸筋・長母指外転筋を狙ってリリースを行なう。
母指IP関節の関節調整も行なう。
5回目
1週間後
育児・家事での痛みは大分軽減した。
ハサミで物を切る動作が痛みが若干残る。
施術は前回と同内容で、部位を絞って行なう。
6~8回目
日常生活には問題ない程度へ変化。
何かの拍子で痛みが出たり、ハサミ動作でまだ若干違和感が残るとの事。
この段階では、当初装着していたサポーターは全く使用しなくても大丈夫な状態へ。
9回目~
母指の痛み完全に消失。
育児・家事は勿論、ハサミで物を切ったり、ペットボトルを空けたりする動作も全く問題なく依然と同じ状態へ。
現在は、通院間隔を3週に1回程度のペースでメンテナンスを行い、
母指の痛みの再発予防であったり、育児疲労による腰痛・肩こりに対する施術を行ない経過観察中である。
考察
今回の症例は産後から右手母指の痛み、いわゆる腱鞘炎でお悩みのケースであった。
当院に初めて来られた際は、非常に痛みが強く、日常生活や育児にかなり支障が出ている状態であった。
腱鞘炎は産後に非常によく起こりうる問題である。
原因は幾つか考えられます。
先ずは、一番影響の高いと思われる原因である、
物理的な負担です。
抱っこ、おむつ替え、沐浴、授乳などです。これらは手首に負担が非常に掛かりやすいです。
特に、初産で右も左も解らない状態で首が据わっていない子供を支える時は非常に顕著です。
次に、ホルモンの影響です。
関節を緩めるホルモンが妊娠出産のタイミングで多量に放出されるので、その分筋肉や関節に負担が掛かります。
次に、むくみの影響です。
むくみにより、腱と腱鞘(腱を縛っている帯の様なもの)の隙間が狭くなり、それが腱鞘炎の原因になったりもします。
これらが、産後に起こりうる腱鞘炎の主な原因として挙げられる。
施術は勿論、負担の掛かっている手首の部分を施術していくのですが、
重要なのは、その部位だけでは駄目で、全体を診なくてはいけません。
思い出してください、普段手首を動かす時は、必ず肘と肩も一緒に動いていますよね?
この、肘と肩も重要なのです。
腱鞘炎の治療で良く見受けられるのが、手首周辺の電気を当てて、マッサージをして・・・と、
言うような治療をされている方が多いと思います。特に整形などでは定番です。
しかし、それだけでは治りません。しっかりと身体全体を整える必要性があるのです。
腱鞘炎は少し痛みがあるとか違和感程度であれば割と早期に回復しますが、
ペットボトルが空けれないとか、包丁が使えないとかまでのレベルまでに達していると、回復までの時間が非常に掛かります。
ですので、産後に手首の痛みや違和感がある方は、出来る限り早期に専門の機関にてチェックしてもらう事をお勧めします。
※個人の例です。全ての方に効果を保証するものではありません。
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